・朝、ベッドから降りた瞬間に踵が痛い。
・しばらく歩いていると治まるけど、また座ったあとの一歩目が辛い。
この症状、かなり特徴的です。足底腱膜炎(そくていけんまくえん)の典型的なサインです。
整形外科で診断を受けた方も、
「安静にしてください」「湿布を出しておきます」
で終わってしまって、なかなか改善しないという声をよく聞きます。
そりゃそうです。全体重が足の裏にかかってくるのですから。
長年の臨床で足の不調を診てきた立場から、この症状の正体と、鍼灸でできることを整理してみます。
足底腱膜炎とは何か、まず構造から。
足の裏には、踵の骨から足の指の付け根まで扇状に広がる「足底腱膜」という組織があります。
これが土踏まずのアーチを支えていて、歩いたり走ったりするときの衝撃を吸収するクッションの役割を担っています。
この腱膜に継続的な負荷がかかり続けると、微細な損傷と炎症が起きます。それが足底腱膜炎です。
悪化すると踵(かかと)の骨に「骨棘(こつきょく)」というトゲ状の骨が形成されて、
歩行そのものが困難になるケースもあります。
「朝の一歩目だけ痛くて、歩いているうちに治まる」という特徴があるのは、夜の間に腱膜が硬く縮んだ状態から急に伸ばされるためです。歩いているうちに組織が温まって痛みが引くのですが、それで「治った」わけではなく、負荷は蓄積し続けています。
なりやすいのは、意外と「あの人たち」です。
ランナーやスポーツ選手に多いイメージがありますが、実際の臨床では長時間立ち仕事をしているビジネスパーソン、ヒールを日常的に履く方、急に体重が増えた方、そして「よく歩く健康的な人」にも頻繁に出ます。
特に、普段はデスクワークで足を使わないのに週末だけ長距離歩く、という生活パターンは足底腱膜炎を引き起こしやすいです。
腱膜が普段の負荷に慣れていない状態で急激な刺激を受けるためです。
整形外科の治療と、鍼灸の役割の違い。
整形外科では消炎鎮痛剤・湿布・インソール・安静が基本的な対処になります。
炎症を「抑える」アプローチです。これが効く方もいますが、
慢性化すると「難治性足底腱膜炎」となり、数年単位で痛みが続くケースも少なくありません。
鍼灸が何をするかというと、
・炎症を抑えるだけでなく
・硬くなった腱膜と周辺の筋肉を直接緩めて
・血流を回復させます。
足底腱膜炎は足の問題に見えて、実はふくらはぎや股関節、さらには姿勢全体と連動していることがほとんどです。足だけを見ていても根本は変わらない、というのが21年の実感です。
鍼を打つとその周辺に微細な刺激が生まれ、自律的な修復反応が促されます。
これは湿布で炎症を抑えるのとは作用の方向が根本的に違います。
「痛みを消す」のではなく「治る環境を作る」イメージです。
ただし、状態によっては鍼より先にやることがあります。
腫れや熱感が強い急性期の炎症がある場合は、まず整形外科でレントゲンを撮って骨棘の有無を確認し、炎症を落ち着かせることが先です。急性期に鍼で刺激を加えると、かえって悪化することがあります。
「朝だけ痛い」「動いているうちに治まる」という段階であれば、鍼灸の出番です。一方、「常に痛い」「安静にしていても痛い」という状態になっていたら、まず医療機関への受診を強くすすめます。これは正直に言っておきたいことです。
セルフケアで毎日できることも、あります。
お風呂上がりにふくらはぎをしっかり伸ばすこと。これだけでも腱膜にかかる張力が変わります。足底腱膜とふくらはぎの筋肉(腓腹筋・ヒラメ筋)はアキレス腱を通じてつながっているので、ふくらはぎが硬いと足底腱膜への負荷が増します。
【青竹踏み】については、症状が出ていない予防の段階では有効ですが、すでに痛みが出ている状態では悪化リスクがあります。「足底腱膜炎かも」と思い当たる方は、まず青竹踏みを休んで様子を見てください。
深夜の出張施術も対応しています。
按鍼道は西麻布を拠点に、年中無休・深夜まで出張施術に対応しています。足裏の痛み、踵の違和感、朝の一歩目が辛い方は、ご自宅やホテルへお伺いしますのでお気軽にご相談ください。
著者表示: 執筆・施術:廣瀬(按鍼道 院長 / 鍼灸師 臨床18年)











